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「子なし夫婦」は遺言書が必須? 起こりやすい相続トラブル

「子なし夫婦」は遺言書が必須? 起こりやすい相続トラブルをFPが解説

共働きがあたりまえになってきている昨今、DINKsと呼ばれる子どもを持たない夫婦も増えてきています。子どもがいないから相続は簡単と思われがちですが、実は「子どもがいないからこそ」相続トラブルが起こりやすいケースがあります。今回は、「子なし夫婦」で起こりやすい相続トラブルと、それを防ぐために、なぜ遺言書が重要なのかを解説します。

子どもがいない夫婦の相続はどうなる?
子どもがいない夫婦のどちらか一方が亡くなった場合、残された配偶者がすべての財産を相続できると考えがちです。しかし、法律上はそうとは限りません。

子どもがいない夫婦では、亡くなった人の両親や兄弟姉妹が存命であれば、その人たちも相続人になります。

法律で決められている相続人の優先順位は次のとおりです。

<相続人の優先順位>
配偶者は常に相続人になります。
1.子ども
2.子どもがいない場合は、親(直系尊属)
3.子どもも親もいない場合は、兄弟姉妹

子どもがいない夫婦の一方が亡くなった場合の相続の優先順位と取り分(法定相続分)を見てみましょう。

たとえば夫が亡くなって妻が残された場合は、子どもがいないため、相続人は妻と夫の両親になります。夫の両親がすでに他界している場合は、相続人は妻と夫の兄弟姉妹となります。夫の兄弟姉妹が亡くなっており、その人に子ども(夫から見て甥や姪)がいれば、その子どもが相続人になります。(代襲相続といいます)

夫に両親も兄弟姉妹もいない場合は、妻が全財産を相続します。

次に、相続人が複数いた場合の取り分も見てみましょう。

法律で決められている相続人が継承する相続財産の割合のことを法定相続分といいます。

<法定相続分>
妻と夫の両親が相続人になる場合
・妻: 3分の2
・両親: 3分の1

妻と夫の兄弟姉妹が相続人になる場合
・妻: 4分の3
・兄弟姉妹: 4分の1

父母や兄弟姉妹が複数いる場合は、法定相続分を人数で均等割りします。

ちなみに、子どもがいる夫婦なら法定相続分は次のとおりです。
・妻: 2分の1
・子: 2分の1(子が複数いる場合は人数で均等割り)

子どもが1人でもいれば、親や兄弟が相続人になるケースはありません。つまり、長年一緒に暮らしている家族の間で遺産分割をすればいいだけです。

しかし、子どもがいない夫婦では、亡くなった人の親や兄弟姉妹が相続人となるため、配偶者は義理の家族と遺産分割を行うことになります。場合によっては普段ほとんど交流のない義理の兄弟姉妹や甥・姪と話し合わなければならないこともあります。こうした点が、子どもがいない夫婦で相続トラブルが起こりやすい理由の一つといえるでしょう。

遺産が自宅だけだと問題が起こりやすい
相続で問題になりやすいのは、遺産の大部分が自宅(不動産)というケースです。

たとえば、預貯金500万円、自宅3,500万円の財産を残して夫が亡くなったケースを考えてみましょう。

預貯金: 500万円
自宅: 3,500万円

夫の両親は他界しており、相続人が妻と夫の兄弟となる場合、法定相続分は次のとおりです。

妻: 3,000万円
夫の兄弟: 1,000万円

妻が自宅に住み続けたい場合は、現金1,000万円を夫の兄弟に支払う必要があります。預貯金が十分にあれば問題ありませんが、不足している場合は、「自宅を売却して現金化する」という選択を迫られる可能性もあります。

夫の兄弟との関係が良好であれば、話し合いで解決するケースもありますが、遠方に住んでいたり、交流がほとんどなかったりすると、それも難しくなります。

「まさか相続で自宅を手放すことになるとは!」

こんな事態にならないように、お互いに遺言書を作成しておきましょう。

遺言書の作成が重要なわけ
遺言書に書かれた内容は、法定相続分よりも優先されます。そのため、たとえば「すべての財産を妻に相続させる」という遺言書を作成しておけば、他に相続人がいても、原則として妻に全財産を渡すことができます。

特に、相続人が兄弟姉妹の場合は、遺言書の効果が大きくなります。兄弟姉妹には「遺留分」と呼ばれる法律上保障された最低限の取り分がないため、「全財産を配偶者に相続させる」という遺言書があれば、兄弟姉妹に相続財産が行くことはありません。

一方、父母などの直系尊属が相続人となる場合には、遺留分があります。ただし、遺留分は自動的に発生するものではなく、相続人が「遺留分侵害額請求権」を行使して初めて請求できるものです。

そのため、親が相続人となるケースであっても、遺言書を作成しておく意義は大きいといえます。少なくとも、遺言書がない場合のように、相続人全員で遺産分割協議を行わなければならない事態を避けられ、残された配偶者の負担を軽減できます。

遺言書はどのように作成する?
遺言書には、主に遺言者自らが手書きで書く「自筆証書遺言」と、公証人が遺言者から聞いた内容を文章にまとめ公正証書として作成する「公正証書遺言」があります。

自筆証書遺言は手軽に作成できる一方で、法律で定められた要件を満たしていないと無効になるおそれがあります。また、紛失や改ざんのリスクもあります。

一方、公正証書遺言は、公証人が内容を確認しながら作成するため、法的な不備が生じにくく、原本が公証役場で保管されるため紛失の心配もありません。

確実に配偶者へ財産を引き継ぎたいのであれば、費用はかかるものの、より確実性の高い公正証書遺言を選ぶのがおすすめです。

●自筆証書遺言
メリット
・費用がかからない
・手軽に作成できる

デメリット
・一定の要件を満たしていないと、遺言が無効になるおそれがある
・遺言書の紛失や、改ざんのリスクがある
・遺族が遺言書の存在に気づかないことがある
・家庭裁判所の検認手続きが必要

●公正証書遺言
メリット
・専門家が手がけるので、遺言が無効になる可能性が低い
・紛失や改ざんのおそれがない
・家庭裁判所の検認手続きが不要

デメリット
・証人2人が必要
・費用や手間がかかる

「自筆証書遺言書保管制度」なら自筆遺言のデメリットを解消できる
公正証書遺言は費用や作成の手間がかかるため、自筆で遺言書を作成したい人は、法務局の「自筆証書遺言書保管制度」を利用する方法もあります。

「自筆証書遺言書保管制度」とは、自筆証書遺言書とその画像データを法務局で保管する制度です。この制度によって自筆証書遺言のデメリットを解消できます。

法務局で、遺言書の原本と、その画像データが保管されるため、紛失や改ざんのおそれがありません。また、自筆証書遺言の形式に適合するか法務局職員が確認するため、無効になるリスクを減らすことができます。ただし、有効性を保証するものではありません。

遺言者が亡くなったときには、あらかじめ指定された人に通知がいくので、遺言が発見されないということもありません。さらに、自筆証書遺言書保管制度を利用すれば、家庭裁判所の検認が不要となります。

利用する際の注意点としては、民法で定められた自筆証書遺言書の要件を満たし、決められた様式で遺言書を作成する必要があるということです。これがクリアできれば、かかる費用は遺言書保管手数料としての3,900円分の収入印紙のみです。

詳しくは法務省の自筆証書遺言書保管制度をご覧ください。

まとめ
子どもがいない夫婦の相続では、配偶者だけでなく、亡くなった人の親や兄弟姉妹も相続人になる可能性があり、意外とこの点は見落とされがちです

子どもがいないと義理の両親に頼る機会が少なく、義理の兄弟姉妹ともあまり交流がないケースも少なくありません。そのため、相続が発生した際には、普段接点の少ない親族との間で遺産分割を進めなければならず、残された配偶者にとって大きな負担となることがあります。

また、兄弟姉妹の人数が多い場合には、連絡や遺産分割協議書への署名など手続きも煩雑になります。

こうした事態を避けるためにも、あらかじめ遺言書を作成しておくことが重要になります。

遺言書は単に財産の分け方を決めるための書類ではありません。残された配偶者の生活を守り、相続手続きの負担を軽減するための重要な備えでもあります。

まだまだ先のことと思わずに、夫婦で話し合って早めに準備しておくと安心です。

news.mynavi.jp

配偶者と死別した高齢男性の生活がすさんでしまう理由

日本の高齢夫婦の家事分担率は極端に女性に偏っており、そのために妻に先立たれた男性は苦痛や生きづらさを感じることになる

人数が多い団塊ジュニアの世代は50代半ばになっていて、定年が見え始めている。退職すれば毎日が日曜日となり、生活は大きく変わる。さらに20年ほど経つと、長年連れ添った配偶者と死別する。若い頃に結婚して家庭を築いていても、誰しも最後は一人(独り)だ。

だが晩年に一人になることのインパクトは、男女で大きく異なるようだ。千葉大などのチームが発表した研究によると、配偶者と死別することで男性は認知症や鬱、絶望感、死亡リスクが増えるのに対し、女性ではそういう悪影響は少なく、幸福感や生活満足度が高まるという。

これが現実であろうことは、マクロな自殺統計からもうかがえる。2020年の自殺者数は、80代前半の有配偶男性が422人、死別男性が164人(厚労省「人口動態調査」)。同年10月時点の80代前半の有配偶男性は177万6077人、死別男性は29万4653人(総務省「国勢調査」)。有配偶者、死別者それぞれの自殺者出現率(自殺率)を算出し、棒グラフにすると<図1>のようになる。

高齢者の自殺率は女性より男性の方が高いが、注目してほしいのは有配偶者と死別者の違いだ。男性を見ると、死別者の自殺率は有配偶者の倍以上で、配偶者との死別によって鬱や絶望感が増すことがうかがえる。一方、女性では両グループ間の差はわずかで、そのような悪影響は起きにくいようだ。

男性は女性と比べて交流関係が狭く、定年退職後の高齢期では、話すのは一緒に暮らす妻とだけ。その妻に去られることの痛手は大きい。料理・洗濯・掃除といった家事も妻に依存しているので、その支えがなくなると生活はすさむ。女性は家庭の外の人間関係も多く、夫がいなくなると自由時間が増え、交友の頻度も増える。配偶者との死別で幸福感や生活満足度が高まるというのは、こういうことかもしれない。

<表1>は80代前半の無業男女の生活時間だが、女性は配偶者と別れると2次活動(義務的・拘束的なもの)の時間が大幅に減り、3次活動時間(自由時間)が増える。言い方は悪いが、夫の世話から解放されるためだろう。男性はその反対だ。ここにも、高齢期の「夫婦ジェンダー」の傾向が表れている。

冒頭の研究は、配偶者と死別した男性への社会的サポートの再構築を提言している。それもいいが、まずは男性を自立した生活者へと仕向けることが必要だろう。そのための第一歩は、家事をするよう促すことだ。

周知のように、日本の男性の家事時間は短い。仕事を辞めた高齢者は違うだろうと思われるかもしれないが、65歳以上の有配偶男性の平均家事時間(週当たり)は5.5時間でしかない。同年齢の有配偶女性は21.7時間。男性の分担率は、5.5/(5.5+21.7)=20.2%、5分の1ほどだ。

65歳以上の有配偶男性の平均家事時間を横軸、家事分担率を縦軸にとった座標上に、40の国と地域を配置すると<図2>のようになる。日本は左下にあり、国際的に見て高齢男性の家事時間が極めて短く、かつ妻との分担率も低い国であることが分かる。「日本では、妻に去られた男性の生活がすさみ、死亡リスクが高まるのは当然」と、海外の人からは思われるだろう。

これから高齢期はますます長くなるが、旧態依然の夫婦ジェンダー意識を残したままだと、生きづらさや葛藤に満ちたものとなる。性役割分業を撤廃すべき理由は、こういうところにもある。

www.newsweekjapan.jp

お金をかけなくても、充実した老後

「老後を楽しく過ごすにはお金が必要」と思われがちですが、実際には必ずしもそうとは限りません。もちろん生活に必要なお金は大切ですが、お金をあまりかけなくても毎日を楽しんでいる人はたくさんいます。そうした人たちに共通しているのは、

「人とのつながり」

「日々の楽しみ」

「自分の役割」

を持っていることです。

例えば、毎朝散歩に出て顔なじみとあいさつを交わしたり、図書館で本を借りたり、公民館の講座や地域のサークルに参加したりするだけでも生活に張り合いが生まれます。また、料理や家庭菜園、手芸などを趣味として楽しむ人もいます。お金をかけなくても、「今日は何を作ろう」「野菜が育った」といった小さな楽しみが日々の充実感につながります。さらに、地域活動やボランティアなどで誰かの役に立つ機会があると、「自分はまだ必要とされている」という実感を持ちやすくなります。

老後の不安は、お金だけが原因ではありません。仕事を辞めた後の孤独感や、社会とのつながりが減ることに悩む人も少なくありません。

だからこそ、お金を使うことよりも、

「外に出る習慣を持つ」

「人と話す機会をつくる」

「好きなことを続ける」

といったことが、老後を楽しく過ごすコツといえるでしょう。

お金をかけない生活は、決して我慢ばかりの生活ではありません。身近な楽しみを見つけながら、自分なりのペースで毎日を過ごしていくことが、充実した老後につながるのではないでしょうか。

にんにく 長持ち保存ワザ

こんにちは!暮らしニスタ「家事コツ研究室」研究員Oです。蒸し暑い日が増え、なんとなく食欲が落ちたり、体がだるく感じたりすることはありませんか?そんな時季こそ、料理のアクセントにもなる「にんにく」が大活躍。香り豊かで、さまざまな料理に使える便利な食材です。

でも1つ買っても1回で全部使い切ることが難しくて、冷蔵庫で保存していたら、いつの間にか芽が出ていたり、カビが生えてしまった!ということも…。そうならないためにも今回は、にんにくのとっておきの保存方法を紹介します。

にんにくは迷わず「冷凍保存」すべし!
皆さん、普段にんにくはどこで保存していますか?私もそうだったんですが、野菜室で保存していませんか?

実は野菜室は、冷蔵庫の中でも比較的温度が髙めに設定されているので、にんにくが発芽しやすく早く傷んでしまうのだとか。

もし生のまま保存するのであれば、冷蔵庫内でも温度が低い、肉やハムなどを入れる「チルド室」に、新聞紙などに包んで保存するのが良いそうです。ただこれでも保存期間は1か月ほど。

そこで、もう少し長く保存するには「冷凍保存」がおすすめです!にんにくって冷凍保存できるんですね。

今回はにんにくを1片ずつ保存する方法と、すぐに料理に使えるようにカットしたにんにくの保存方法を紹介します。

冷凍保存の方法は?

1. にんにくを1片ずつばらす

塊で買ってきたにんにくは、1片ずつばらすようにします。このときのポイントは「皮つきのまま」にすること。生のにんにくを皮つきのまま冷凍することで、風味がとんでしまうのを防いでくれるんです!

2. 2~3片ずつラップで包む

1片ずつ皮つきのままばらしたにんにくを、2~3片ずつラップで包みます。一気にまとめてではなく、使いやすい量ずつ包むことで、取り出しやすくなりますよ。

3. フリーザーバッグに入れて冷凍庫へ

ラップで包んだにんにくをフリーザーバッグに入れます。この時、袋の中の空気はしっかり抜いて密封しておきましょう。

あとは冷凍庫に入れれば完了です。ちなみに冷凍だと、半年ほどは味を損ねることなく保存可能なんだとか!これはかはり嬉しいですね♪

解凍の手間いらず。さっと使えます!
冷凍したにんにくを使いたいときの解凍方法はとっても簡単。

1. 根本を切り落とす

最初に凍ったにんにくの根元を切り落とします。冷凍してもにんにくは完全には凍らないので簡単に切ることができますよ。

2. 水に1分間浸す

続いてにんにくがすっかり浸るくらいの水に1分間ほど浸します。

3. 皮をむき、使いたい形に切る

2のにんにくを取り出し、根元から皮をむきます。生のにんにくの皮をむく時って、皮がにんにくにべったりへばりついてむきにくかったりしますが、

なんと水に浸したあとはご覧のとおり、ツルンと皮がむけ、あっという間ににんにくを取り出せました!
個人的にはここが一番感動しましたよ(笑)あとは、料理に合わせた形に切ればOK。

にんにくをカットしてから冷凍してもOK!
もちろん冷凍したにんにくを1片ずつ取り出して使うのもいいのですが、最初から用途に合わせてカットしたにんにくを冷凍しておくと、より早く料理に使うことができますよ。

 

では今度はカットにんにくの冷凍保存方法を紹介します。

1. みじん切り、薄切り、すりおろしにする

にんにくを料理に使う際は、ほとんどみじん切り、薄切り、すりおろしのどれかだと思います。
そこでまずいつも料理に使うときのようににんにくをカットします。

みじん切り

薄切り(中心の芯部分はつまようじなどで取り除いておきます)

すりおろし

2. 適量ずつラップで包む

カットしたにんにくを料理に使いやすい量ずつのせ、平たくしてラップに包みます。
一気にまとめて包むよりも、大さじ1くらいずつを小分けにした方がのちのち料理に使いやすいですよ。

3. フリーザーバッグに入れて冷凍庫へ

ラップで包んだカットにんにくをフリーザーバッグに入れ、密封すれば冷凍庫へ。あとは、使いたい時に1包ずつ取り出せば、解凍せずそのまま料理に使えますよ。

ちなみに、やはりカットにんにくは皮つき冷凍よりも風味が飛びやすいので、大量に作るよりも適量ずつ準備しておくのをおすすめします。

カットにんにくの保存期間は約2ヶ月、すりおろしにんにくは、1ヶ月程度です。

 

冷凍にんにくで暑さを乗り切ろう!
にんにく料理が好きなのでにんにくはよく使うのですが、とは言え、一気に1個まるまる使うことはないので、残ったにんにくの保存についていつも困っていました。

でも実は冷凍保存できることがわかったので、これからはカビたり発芽させることなく最後までおいしくにんにくを消費することができそうです。

今年も暑くなりそうですが、にんにく料理でスタミナをつけて夏を乗り切っていきましょう!

取材・文/JUNKO

kurashinista.jp

日本人はなぜ空気に支配されるのか

職場や学校で、「空気」という暗黙のルールの中で生きなければならない私たち。さらに今、激変し続ける社会情勢を受け人々の不安はいや増し、空気の圧力は強まるばかりです。

そこで、中野信子さんが日本人の心性と強みを、脳科学・遺伝学・行動科学をとおして初めてひもとき、多くの共感を呼んだ大ベストセラーに、対処法を加筆したのが『新版 空気を読む脳』です。

日本人に特有の「空気を読む」能力を知ることが、賢く生き延びるための武器となります。たとえば、神風やバブル、不祥事の隠蔽など、なぜ、責任の所在があいまいとなるのか、なぜ、証明が正しくても反対意見が通らないのかなどなど、空気の支配の影響力が第3回(前編)で明らかになります。

空気を否定したら生きていけない
日本人が「空気」というきわめて局所的かつ強力な統治原理を手放さない限り、半永久的に日本は単立文明であり続けるのではないでしょうか。欧米のような「神」や「契約」といった外的な絶対規範を持たない日本において、集団の意思決定を左右するもっとも強力な要因である「空気」。これは、単なる雰囲気といったようなものではなく、私たちの行動を支配する非常に強い力を持っています。

この支配力の源は、先にも述べましたが責任の所在の不可視化、論理(ロジック)の無効化、また臨在感的把握の3要素から構成されています。

責任の所在の不可視化は、「空気が決めたこと」になれば、結果として失敗しても、「あのときはそういう空気だったから仕方ない」という言い訳が成立し、誰も責任をとらず健全なフィードバックが行われ得ない構造が生まれます。むしろ健全なフィードバックを行った人間から排除されるでしょう。「空気」を否定した者は、もはやその「空気」を吸って生きていくことはかないません。

論理の無効化も、同様の構造によって起こる現象です。どんなにデータや数字で「それは不可能だ」「間違っている」と証明されたとしても、その場の「空気」が賛成に傾いていれば、反対意見を口にした者は排除されます。それは神のごとき支配者たる「空気」に「水を差す」、つまり「論理」という異教の神を崇める背信行為、共同体への反逆行為にほかならないからです。

臨在感的把握というのは、特定の対象に「霊的な何か」が宿っているかのように感じ、それを絶対視してしまう心理のことです。21世紀の現代においても、さらには都市生活者であっても、八百万(やおよろず)の神としてものや場や思考、物語、言葉そのものなどに霊的な何かが宿ることを多くの日本人が自然に受け入れて日常を送っているさまは、それだけで他文明とは異質であり、この「感情的な一体感」が「空気」をつくり出していきます。

「水を差す」ことの重要性
日本の異質さを「空気」というキーワードで解剖した山本七平は、日本の意思決定が以下のサイクルをくり返していると指摘しました。

空気が支配し始める、醸成過程。誰も異論を唱えられない雰囲気がつくられていきます。

これが完成すると、暴走過程が始まります。合理性を度外視した、「空気」の絶対的支配です。神風、バブル、不祥事の隠蔽など、特定の方向に集団が突き進む強力な圧となるものです。ここで破滅的な失敗や、外部からの強力な強制力によって空気が霧散する事態が生じると、崩壊過程に入ります。しかしながらこの破滅的な失敗は、次に活かされることはほとんどなく、「あの状況では仕方なかった」などの慰めが支配的となる忘却過程が続きます。そして誰も責任をとることはなく、また次の「空気」が生まれることになります。

山本はあえて、空気を読んだうえで、それに支配されないために、「水を差す」ことの重要性を説いています。今自分が感じている「空気」を、絶対的な真理ではなく、あくまで「一時的な心理現象」として客観視する視点の導入です。

山本は「水」を「空気による狂信状態から覚醒させるための不可欠な手段」としてとらえなおしました。「空気」がある種の熱狂や「臨在感的把握(対象に感情移入しきった状態)」によって成立しているなら、その熱を冷ますのが「水」の役割だから、水を差すことができる人を育成せよ、というわけです。

とはいえ日本社会では、先述のとおり「水を差す」ことはせっかくの盛り上がりにケチをつけるなどネガティブな文脈でとらえられることがしばしばです。「空気」は単なる雰囲気ではないのです。一種の「宗教的拘束力」に近いもので、破れば苛烈な「罰」がくだされるものなのです。

「なぜ、相手や周りの気持ちがわかりすぎる人ほど生きづらいの?」――。

職場や学校で、「空気」という暗黙のルールの中で生きなければならない私たち。さらに今、激変し続ける社会情勢を受け人々の不安はいや増し、空気の圧力は強まるばかりです。

そこで、中野信子さんが日本人の心性と強みを、脳科学・遺伝学・行動科学をとおして初めてひもとき、多くの共感を呼んだ大ベストセラーに、対処法を加筆したのが『新版 空気を読む脳』です。

日本人に特有の「空気を読む」能力を知ることが、賢く生き延びるための武器となります。空気の支配の中で最強の免罪符となるのが「誠意」です。第3回(後編)ではその理由と使い方をお伝えします。

「和」の社会で重要視される「誠意」
「空気」の支配力を通して山本七平が分析した「日本教」は、特定の経典や教祖を持ちませんが、強力な教義として機能している要素があります。人間(じんかん)至上主義、情況倫理(ケースバイケース)、現世中心主義の3つです。

日本教において最も尊いのは、神でも仏でもなく「人間関係」です。一文字で表現するなら「和」そのものです。真理や正義よりも、「周囲とうまくいっているか」「和を乱さないか」が最優先されるのです。この中で重要な役割を果たすのが「誠意」です。理論的な正しさよりも「誠意(一生懸命やっているか)」という情緒的な姿勢が評価の対象となります。

また、十戒などの絶対的な神の掟を持たないため、善悪の基準が「その時の状況や空気」によって柔軟に(あるいは節操なく)変化します。これが情況倫理です。

そして、死後の世界や、日常の人間関係を超克する聖域などではなく、「今、ここ」の利益を最優先するのが現世中心主義です。多くを語る必要はないと思いますが、目に見える範囲で役に立たないものは「迷惑」であるとされ、放置されるか、悪くすれば排除の対象になります。

この日本教における神が「空気」です。

このパラダイムの中では「誠意」が何よりも強力な免罪符となり、「彼には誠意があった」「一生懸命だった」と周囲が認めれば、日本教の論理では許されます。逆に、どんなに正論を言っても「誠意が感じられない」とされれば、日本教における背信者としてさらなる反感を買い、排除されます。

山本は、日本社会では「何をしたか(結果・客観的事実)」よりも、「どのような精神状態でそれを行ったか(主観・誠意)」が究極の判定基準になると指摘しました。これは、何かを「やらかした」ときの日本における謝罪のあり方のガイドラインになるものです。たくさんの方がこのマニュアルを必要としていることでしょうが、この原理に則って謝罪すればほぼ乗り切ることが可能でしょう。構造はシンプルなものです。

「誠意」はどんな正論も駆逐する
通常、組織や社会での失敗は「原因の究明」と「責任の所在」を明らかにすることで解決を図ります。しかし、日本教の論理ではプロセスが逆転します。

論理的な思考では、「失敗した」→「方法が間違っていた」→「責任をとるべきだ」となりますが、日本教的な思考では「失敗した」→「しかし彼は一生懸命(誠意を持って)やった」→「ならば責めるのは酷だ(水に流そう)」となります。

ここでいう「誠意」とは、具体的な解決策のことではなく、「対象に対して自己をどれだけ没入させたか」という情緒的な純粋さを指します。この純意(まごころ)が認められると、たとえ壊滅的な実害を出したとしても、その罪は「浄化」されてしまいます。

日本教において「誠意」を証明するためには、しばしば「自己犠牲のポーズ」が必要になります。

徹夜・過労など自分を痛めつける行為や深々とした謝罪、つまり、腹を切る文化の残滓です。「寝ずに頑張った」という事実は、仕事の効率よりも高く評価されますし、会見での涙や、徹底的な低姿勢は、事実関係の説明よりも「誠意の証明」として機能します。「腹を切る」文化の残滓は、具体的な、辞任や降格といった「身を削る行為」のデモンストレーションにより、周囲の「空気」を「もう許してやろう」という方向に誘導するのです。

なぜ「誠意」はこれほど強力なのでしょうか。それは、「誠意」が「共同体の空気」を維持するための装置となっているからです。

もし論理だけで責任を追及し続けると、人間関係に修復不可能な亀裂が入ります。しかし「誠意があった」と認定して水に流せば、組織の和は保たれます。日本教の教義は「真理」にあるのではなく「和」であり神は「空気」であるため、それを維持するための「誠意」はどんな正論よりも尊いという扱いになるのです。

この構造の恐ろしさは、「誠意さえあれば何をやっても許される」という原理を生むことです。これは失敗からの学習を不可能にし、健全なフィードバックを無効化してしまいます。失敗の原因は「技術や戦略の欠如」ではなく、「気合や誠意の不足」とされ、一生懸命やった結果なら誰も責められないため、同じ構造的なミスがくり返されることになります。

戦時中の「精神力(大和魂)で物量差を補う」という発想や、現代企業の不祥事における「トカゲの尻尾切り的な謝罪」は、すべてこの日本教の「誠意の免罪符」が発動している例として山本の論では分析されます。この日本教的構造が「平時」には驚異的な団結力と効率を生む一方で、「非常時」には誰も責任をとらず、根拠のない空気に流されて破滅に向かう脆さを持っていると結論づけました。

次項では、空気の支配下で「言葉」の力がどう働くか、空気という謎ルールの社会で、どうやって生きていくかを述べていきます。

◇次回は、第4回前編「脳科学者・中野信子が語る空気の謎。「上級国民」や「下流老人」という言葉が爆発的に広まった背景」にて公開。6/8公開です。

 

gendai.media

70歳代二人以上世帯【老後の生活費の平均】

《厚生年金・国民年金》の平均受給額はどれくらい?70歳代の平均を1歳刻みで見てみる

定年退職後も働く方の割合は増加傾向にありますが、70歳代になると仕事を辞めて年金生活に入る方が多くなります。

しかし仕事を辞めると、「万が一のときに対応できる貯蓄はあるのか」「年金だけで生活費を支払えるか」など経済的な不安を感じる方も多いでしょう。

本記事では、70歳代シニア世代の平均貯蓄額や年金受給額、毎月の生活費について詳しく解説していきます。

70歳代二人以上世帯の貯蓄額の平均値・中央値「貯蓄3000万円以上ある世帯」割合は?
J-FLEC(金融経済教育推進機構)「家計の金融行動に関する世論調査」によると、70歳代二人以上世帯の貯蓄額の平均値は2416万円、中央値は1178万円です。

平均値が2416万円ということから、十分な金額を保有している世帯が多い印象を受けます。

しかし、より実際に近いとされる中央値が1178万円となっているため、平均額は2416万円よりも低くなると考えられます。

では、保有資産ごとの世帯割合も確認してみましょう。

【金融資産保有額:世帯割合】
・金融資産なし:10.9%

・100万円未満:4.5%

・100~200万円未満:5.1%

・200~300万円未満:3.7%

・300~400万円未満:3.9%

・400~500万円未満:2.9%

・500~700万円未満:6.4%

・700~1000万円未満:6.7%

・1000~1500万円未満:11.1%

・1500~2000万円未満:6.7%

・2000~3000万円未満:12.3%

・3000万円以上:25.2%

「3000万円以上」の金融資産を保有している世帯が最も多く、25.2%となっており、約4世帯に1世帯が該当することになります。

次いで多いのが「2000〜3000万円未満」の12.3%、「1000〜1500万円未満」の11.1%です。

これらの世帯では、70歳代以降にまとまった費用が必要になっても対応できる可能性が高いでしょう。

しかし、「金融資産なし」世帯が10.9%、「100万円未満」世帯が4.5%となっているように、万が一の際の出費に対応できない可能性がある世帯も少なくないことがわかります。

70歳代二人以上世帯では、貯蓄額の十分な世帯とそうでない世帯の差が大きく広がっている状況です。

では、現在の70歳代は、老後生活の大切な収入源である厚生年金や国民年金はどのくらい受け取っているのでしょうか。次章で確認していきましょう。

厚生年金・国民年金の平均受給額
厚生労働省年金局の「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、厚生年金・国民年金の平均受給額は以下の通りです。

【厚生年金】
・全体:15万289円

・男性:16万9967円

・女性:11万1413円

【国民年金】
・全体:5万9310円

・男性:6万1595円

・女性:5万7582円

厚生年金は15万289円、国民年金は5万9310円です。

ただしこれらは受給権者全体の平均であり、年代によって多少異なります。

では、70歳代の平均受給額を1歳刻みで確認してみましょう。なお、厚生年金は国民年金分も含めた金額になっています。

【年齢:厚生年金/国民年金】
・70歳:15万455円/6万1011円

・71歳:14万8371円/6万770円

・72歳:14万6858円/6万234円

・73歳:14万5583円/6万32円

・74歳:14万7774円/5万9813円

・75歳:15万1410円/5万9659円

・76歳:15万1241円/5万9555円

・77歳:15万962円/5万9349円

・78歳:15万862円/5万9124円

・79歳:15万3115円/5万8676円

年齢間に大差はありませんが、厚生年金は年齢が上がるほど高額になる一方、国民年金は少なくなる傾向があります。

上記平均額から見ると、例えば70歳の夫婦で、夫が会社員、妻が専業主婦だった場合の受給額は、21万1466円(15万455円+6万1011円)が目安となります。

では、毎月の生活費をカバーすることはできているのでしょうか。

次章では、シニア世帯の1ヵ月の生活費について解説していきます。

 

70歳代夫婦のみ世帯の生活費
70歳代の夫婦のみ無職世帯の1ヵ月の生活費について総務省統計局の「家計調査報告家計収支編 2025年(令和7年)平均結果の概要」をもとに確認していきましょう。

【70~74歳】
・実収入:28万7725円

・非消費支出:3万9127円

・可処分所得:24万8599円

・消費支出:28万5844円

・収支:▲3万7245円

【75歳以上】
・実収入:25万2798円

・非消費支出:3万1563円

・可処分所得:22万1235円

・消費支出:24万8460円

・収支:▲2万7225円

70〜74歳の世帯では、実収入が28万7725円ですが、社会保険料や税金などの非消費支出が3万9127円差し引かれ、可処分所得は24万8599円になります。

そこから、食費や住居費といった消費支出が28万5844円かかり、毎月3万7245円の赤字となっています。

75歳以上の世帯も同様に計算すると、毎月平均2万7225円の赤字です。

消費支出でもっとも多いのは食費

収入の内訳:平均25万4395円
■うち社会保障給付(主に年金):22万8614円

支出の内訳:平均29万6829円
■うち消費支出:26万3979円

・食料:7万8964円

・住居:1万7739円

・光熱・水道:2万3540円

・家具・家事用品:1万1237円

・被服及び履物:5354円

・保健医療:1万7941円

・交通・通信:3万1325円

・教育:0円

・教養娯楽:2万6538円

・その他の消費支出:5万1341円

■うち非消費支出:3万2850円

・直接税:1万2547円

・社会保険料:2万296円

毎月の収支バランス
・ひと月の赤字:4万2434円

・エンゲル係数(※消費支出に占める食料費の割合):29.9%

・平均消費性向(※可処分所得に対する消費支出の割合):119.2%

住居費や光熱・水道費などは大幅な節約をすることが難しいため、食料費を抑えようと考えるかもしれません。

しかし、昨今の物価上昇の影響から、節約ができないどころか増々費用がかかっている世帯も多いでしょう。

物価高がいつまで続くかは不透明であるため、生活費の負担増に耐えられるよう、切り崩し可能な貯蓄に力を入れておくべきといえます。

まとめ
70歳代の無職夫婦世帯では、毎月の生活費を年金だけでまかなうことは難しく、平均約2万円の赤字となっています。

生活費が不足する場合には貯蓄の切り崩しが必要になりますが、貯蓄の多い世帯がある一方で、十分でない世帯も少なくありません。

老後でもまとまった出費が生じる可能性があるため、現役時代のうちから計画的に老後資金の準備を始めましょう。

 

民事訴訟手続きIT化、21日に全面施行

民事裁判の手続きを全面的にデジタル化する改正民事訴訟法が21日、施行される。

訴状や主張書面をオンラインで提出できるようになり、判決を含む訴訟記録も電子化する。事案によっては自宅などから民事訴訟手続きを完結させることも可能となり、利便性が大幅に向上する。

新制度は、最高裁が開発した民事裁判書類電子提出システム「mints(ミンツ)」に登録することで利用できる。訴状は従来、書面を郵送するか、裁判所に持参する必要があったが、オンライン上で手続きが可能に。証拠書類の提出や判決文の確認もミンツでできるようになる。

21日以降に提起された訴訟が対象。訴訟代理人の弁護士には、訴訟資料のミンツでの提出が義務付けられる。代理人をつけない本人訴訟では、これまで通り書面による手続きが可能だが、手数料はオンラインのほうが低く設定される。

裁判における証人尋問も、当事者双方に異議がなく、裁判所が認めた場合はウェブ会議での実施を認める。自宅など裁判所以外の場所からの参加を可能とすることで、証人の負担を減らす。

これまで紙ベースだった訴訟記録は、裁判所がデータで保管する。当事者や訴訟代理人は裁判所まで行かなくてもミンツを通して閲覧でき、第三者も最寄りの裁判所に出向けば、他の裁判所の訴訟記録を閲覧できる。

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